2026-06

オリジナル小説

第四話:初めてのぬくもり、初めての味

クラリスの小さな家に帰ってきた二人は、さっそく夕食の支度に取りかかった。といっても、料理の経験など微塵もないエリアンは、椅子の座面を壊さないように慎重に腰掛け、調理場に立つクラリスの背中をじっと見つめることしかできない。コトコトと小気味よい...
あの娘の暴走は止まらない!

あの娘の暴走は止まらない!

高校2年生の俺、赤木 晴斗(あかぎ はると)の朝は、いつも最悪のパニックから始まる。「おーい、はーると! 起きないと遅刻しちゃうぞーっ!」ガサゴソと布団が揺れたかと思うと、容赦なく上から降ってきた、柔らかくて、かつズッシリとした心地よい重み...
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第三話:不器用な騎士と、迫る影

クラリスと約束した、裏山への薬草摘みの日がやってきた。「護衛」という大役を任されたエリアンは、この日も凄まじく張り切っていた。なにせ、愛する少女を不届きな魔獣から守る大チャンスなのだ。彼は人間に擬態した姿のまま、クラリスの家の前で彼女を待っ...
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第二話:お茶会と、不器用な仕返し

クラリスと「明日、また会う」という約束を交わした翌日。エリアンは、人生(竜生)で初めて「待ち遠しくて夜も眠れない」という経験をしていた。日の出とともに飛び起き、人間に擬態した彼は、約束の時間の実に3時間前にはクラリスの家の見える丘に到着して...
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第一話:君の隣に降り立つために

数百年を生きる誇り高き銀竜の生き残り、エリアン。人間を「弱く儚い生き物」と見下していたはずの彼が今、人里離れた山の岩陰で、必死にある「術」を行使しようとしていた。巨大な翼を畳み、天を突くような巨体を、ぐっと凝縮していく。おぞましいほどの魔力...
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放課後ハプニング!

外はバケツをひっくり返したような土砂降りの雨だった。薄暗くなった放課後の2年B組の教室には、プリントの整理という不運な居残り仕事を押し付けられた二人の高校生――陣内和馬(じんない かずま)と、クラス委員長の白雪遥(しらゆき はるか)だけが残...
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春風と共に ~最悪の出会いと騒がしい日々~

大学二年生の吉澤悠斗は、自分の人生にドラマなど必要ないと思っていた。朝はギリギリまで寝て、講義に滑り込み、友人と適当にだべり、単位を落とさない程度に勉強する。そんな平凡な大学生活を送るはずだった。少なくとも、その日の朝までは。「やばっ、遅刻...
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幼馴染は油断ならない

春の朝は穏やかなはずだった。少なくとも、俺――相沢悠真はそう信じていた。だが、その平穏は玄関のドアが勢いよく開いた瞬間に吹き飛ぶ。「悠真ー! 遅刻するよ!」聞き慣れた声と共に飛び込んできたのは、幼馴染の朝比奈美咲だった。美咲とは家が隣同士で...
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不純な動機、純粋な恋

春の雨が降っていた。放課後の昇降口で、彼は傘を忘れたことに気づいた。「最悪だ……」誰に聞かせるでもなく呟いた声は、雨音にかき消される。彼――二年生の朝倉悠真は、しばらく空を見上げていたが、やがて小さくため息をついた。そのときだった。「使う?...
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冬の灯

港町に初雪が降った日、彼女は古びた時計店の扉を押した。潮風にさらされた看板は文字も薄れ、店先には誰も足を止めない。それでも店の奥では、無数の時計が規則正しく時を刻んでいた。カウンターの向こうにいた青年は顔を上げると、少し驚いたように目を見開...