天才と呼ばれた人形師には、たったひとつだけ作れないものがあった——失った恋人の心。
彼女を取り戻すため、彼は禁忌とされる心操の魔法に手を染める。人の感情を読み、操り、やがて「再現」することを目指した。そんな研究の果てに出会ったのは、市場の雑踏の中で笑うひとりの少女。
観察対象。研究素材。そう名づけて工房に迎え入れたはずだった。
だが少女の笑顔が、声が、仕草が、もういない誰かと重なるたびに——冷徹であるはずの目が曇り、「研究」と「感情」の境界が静かに溶けていく。
狂気か、執念か、それとも恋か。壊れた人形師が最後に見た夢の結末を、全2話で描く完結済みダークファンタジー。