放課後のエンジニア部室、半田ごてとグリスの匂いが染みついた空気。
ヒビキがモニターに映したのは、「素股だから大丈夫だよ」と囁く男優の顔だった。
割れ目にペニスを押し当てて擦るだけ——挿入なしで行為をするAVのワンシーンに、ヒビキの頭に「?」が浮かぶ。
「説明しましょう!」
コトリが椅子から弾かれたように立ち上がった。
「素股は物理的に挿入ではないため安全とされますが、皮膚間の摩擦係数は体液による潤滑で大幅に変動します! 体勢の角度、太ももの筋圧、分泌液の量——制御すべき変数が多すぎて、理論だけでは安全性を判定できません!」
「なら実測あるのみだ」
ウタハが白衣の袖をまくる。
「先生には仰向けで寝ていてもらうだけさ。私たちが跨がって割れ目に沿わせる——挿入はしない」
先生が部室のドアを開けた時には、床にヨガマットが敷かれていた。
前々回は寝ているだけと言われて三人に中出しさせられ、前回は持っているだけと言われて三人をイかせてしまった。
「〜だけ」の約束が守られた試しがない。
だが断る隙を与えてくれないのもいつものことだった。
「今回は本当に先生は動かなくていいよ。ただし——」
ウタハの言葉が途切れる間にヒビキがベルトを外し終えていて、渋々ズボンを下ろした先生のペニスの根元に、小さなセンサーチップを貼り付ける。
「……リアルタイム摩擦係数モニター。外陰部との接触面のμをリアルタイム表示する」
壁のモニターに数値が浮かんだ。
μ=0.08以下で赤いアラート——「挿入リスク域」が点灯する設計。
数値が下がるほど滑りやすい、つまり——濡れている。
「……また用意がいいね?」
「……前から、作ってた」
ヒビキは目を逸らした。
ヘッドギアの猫耳が コトン と傾いて、その奥の瞳は先生のペニスに貼り付いたセンサーをじっと見つめている。
開発者検証のお決まりで、ヒビキが最初に跨がる。
スカートをたくし上げて下着をずらし、仰向けの先生のペニスに跨がった。
陰唇の割れ目にペニスの竿を沿わせて、華奢な太ももで軽く挟み込む。
粘膜の熱と柔らかさが直に伝わって、先生の背筋が強張った。
モニターの初期値μ=0.35——乾いた皮膚同士の標準的な摩擦係数。
腰をゆっくり前後に動かし始める。
「……データ、取ってる」
無表情のまま呟くが、割れ目に挟んだ竿が陰唇を左右に押し開きながら往復するたびに、むき出しの粘膜がじわりと熱を持ち始める。
乾いていた肌が擦られるうちに じわ……っ と湿り気を帯びて、竿の表面に粘膜が吸いつくように絡む。
ぬる、と音が変わった。
腰を前に押し出せば亀頭の縁がクリトリスを掠め、引けば竿の裏筋が割れ目の奥をにゅるりと擦り上げる。
呼吸が浅くなって、モニターの数値がじわじわと下がっていく。
0.28、0.22、0.17。
ヒビキが濡れてきていることを、数字が全員の前に晒していく。
「0.15切りました! 潤滑膜の形成が——」
コトリの実況を、ヒビキは聞いていない。
唇を噛んで腰の動きを緩めようとしている——でも割れ目を滑るペニスの感触が、止めさせてくれない。
抵抗が減るほど擦れる面積が広がって、広がるほどまた濡れる。
0.12、0.10。
赤いアラートが点滅する。
「ヒビキ、臨界域だ」
ウタハの声が飛んだ瞬間——ヒビキの腰がふわりと浮いて、角度が変わった。
ぬるっ
亀頭がヒビキの膣内に滑り込む。
モニターが「INSERTION DETECTED」に切り替わった。
ヒビキは動かない。
目を閉じて、亀頭だけが膣内に収まる深さで腰を止めた。
浅い粘膜が亀頭をきゅうっと包み込んでいる。
「……先っちょだけ。これは挿入じゃない」
声に後悔はない。
先生の胸に手を置いたまま、亀頭を咥えた膣口で ぎゅ……っ、ぎゅ……っ と締めつける。
びゅるっ……!
先生の精液が浅い膣内に吐き出されて、亀頭を包む粘膜をどろりと満たした。
ヒビキは目を閉じたまま腰を押さえつけて、一滴も零さない。
猫耳ヘッドギアの奥の瞳が、薄く潤んでいた。
ヒビキのグラフを睨みながら、コトリが理論武装に入る。
「敗因は角度制御の不足です! 骨盤を後傾させて内転筋で圧力を維持すれば、摩擦係数が低下しても滑り込む角度は物理的に発生しません!」
完璧な理論を携えて、子供っぽいパンツをずらして自信満々で跨がった。
初期値μ=0.33。
「骨盤の角度はこの位置、内転筋の圧力は——あっ、えっと、このまま維持すれば——」
解説しながら腰を動かし始めるが、割れ目に挟んだペニスが柔らかい陰唇をぐにぐにと押し広げて、むき出しの粘膜に直接擦れるたびに声が上ずっていく。
「摩擦係数0.20——あっ、接触面積が——んっ——骨盤を維持すれば——ひゃっ——」
太ももの間がとろとろに濡れて、ペニスが割れ目の中をにゅるにゅると滑っている。
陰唇が竿に絡みついて、前に動かせば粘膜が引っ張られ、戻せば ぐちゅっ と潰される。
0.15——理論上の安全域なのに、腰が勝手に前後に揺れて止まらない。
「0.12——あっ——まだ大丈夫です! あと3ポイント余裕が——んんっ——」
0.09——アラート。
体勢を直そうと腰を浮かせた動きが、裏目に出た。
にゅるっ!
コトリの膣内に抵抗なく亀頭が埋まる。
「入っ——入ってないです! いま角度を修正すれば——あぁっ——」
抜こうとして腰を上げるたびに、滑りすぎて再挿入を繰り返す。
ずるん!
「ひゃっ——また——」
ぬるぬるの太ももが制動を失って、持ち上がった腰が自重で落ちるたびペニスを根元まで呑み込んでしまう。
ずぷっ……!
三回目で奥まで収まったところで、コトリの動きが止まった。
目を見開いたまま涙がにじむ。
「……仮説の修正が、必要です……」
根元まで呑み込んだまま、コトリの腰が小刻みに震えている。
「これは——あっ——データ収集であって、性行為じゃ——んんっ——」
びゅくっ!!
精液が膣の奥に注ぎ込まれて、コトリの背中が反った。
「出て——先生出てますっ——でもこれは素股の延長で——ひゃぁっ——」
最後の一滴まで注がれても、涙目のまま誰にも通じない理論武装が止まらない。
ウタハが二人の全データを確認して立ち上がる。
「角度、圧力、潤滑——失敗の変数は全て特定した。制御できる」
白衣は脱がず、スカートだけたくし上げてシンプルな下着をずらして静かに跨がった。
太ももの角度、骨盤の傾き、体重の配分——二人の失敗パターンを全て回避する設計のフォーム。
初期値μ=0.38。
三人で最も高い。
腰の動きが始まっても、数値の低下が緩やかに留まる。
5分が経過してμ=0.22。
バインダーにデータを書き込みながら、呼吸の乱れもほぼない。
「太ももの筋圧を一定に保てば、分泌液の増加速度は抑制できるようだ」
「ウタハ先輩すごい……全然下がらない……」
コトリが息を呑む。
ヒビキが2分で臨界域に達したのに対して、ウタハのグラフはなだらかな下降線を描いている。
8分経過、μ=0.20。
首筋に薄く汗が浮いているが、ペンを走らせる手に迷いはない。
10分を超えたあたりで、本人が気づかない変化が始まった。
記録用紙三行前から、メモの字がわずかに乱れている。
0.18。
太ももの内側を伝う湿り気——閉じていた割れ目が、ペニスの熱に負けてじわりと綻び始めている。
竿が往復するたびに陰唇が ぬる……っ と開いて、粘膜が直に竿を包み込むように絡む。
0.15。
ペンを持つ指が震える。
白衣の下でつま先が丸まって、ほどけて、また丸まる。
「……まだ制御域だ」
呟く声に揺らぎはない。
だが身体は数値の先を走っている。
太ももの筋圧を保とうとする意志と、ペニスの熱に溶かされていく粘膜の間で、制御がじりじり削られていく。
0.12——ウタハの呼吸が一拍だけ乱れた。
0.11——白衣の裾を掴む指に力が入って、爪の先が布地に食い込むほど握り締められている。
0.09——アラートが鳴る。
太ももが一瞬だけ震えた。
その一瞬の弛緩で——
ぬるり
ペニスが、抵抗を失った粘膜に沈んだ。
声を上げない。
目を伏せたまま、ペンを動かす。
「挿入発生、16時42分。摩擦係数μ=0.07。……三例全てにおいて仮説は棄却された」
声は平坦。
ただ、バインダーを握る指先が白くなるほど力が入って——記録用紙に走った線が、一本だけ大きく乱れていた。
「……挿入が発生した以上、射精時の膣内圧変動も記録すべきだ」
声は冷静。
腰は動かさない。
ただ膣壁がペニスを ぎゅう……っ と締めつけて、その圧力だけで先生を絞り上げていく。
びゅるっ……びゅる……っ……
精液が膣内に注がれる感触に、ペンを持つ手が一瞬だけ止まった。
再びペンを走らせる。
「射精確認。膣内射精——」
そこで文字が途切れていた。
三人がモニターの前に並んで立っている。
ヒビキの太ももの内側を、浅く注がれた精液が ぼたっ……ぼたっ…… と床に垂れ落ちる。
コトリは膣奥から溢れた白濁が両脚を伝って、足首まで届いていた。
ウタハは背筋を伸ばしたまま立っているが、スカートの裾から精液が一筋、また一筋と静かに流れ落ちている。
三人の足元にできた白い水溜まりを、誰も拭こうとしない。
モニターには三本のグラフ——ヒビキは急降下型、コトリは振動しながら降下型、ウタハは緩やかに降下して最後に急落型。
全員がμ=0.08の臨界線を下回り、全員が中出しで終わった。
ウタハが震える手でバインダーを持ち直す。
「結論。素股による挿入回避は構造的に不可能。正のフィードバックループにより被験者の意志では制御不能。……付記、射精の回避についても同様」
コトリが小さく呟く。
「……つまりAVの『素股だから大丈夫』って、最初から入れるつもりの言い訳だったんですね……?」
ヒビキが無言で頷いた。
「……前にも同じこと言った気がするけど、これって普通は男の方が我慢できないシチュエーションだよね……?」
先生の力ない呟きに、三対の目が一斉に向く。
「……次は、先生が動く側でやったらどうなるか……」
ヒビキの指が、先生のシャツの裾をぎゅっと握り直した。
先生が目を閉じた。

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